黄茶色と海老茶色 考察


あまり知られていませんが、当時物、日産純正ステアリングは、S30フェアレディーZ、ローレル、510ブルーバード、ハコスカなど、すべての車種で、同じデザインのステアリングでありながら「海老茶色」と「黄茶色」の2タイプ(色違い)のステアリングが存在します。

下写真は、復刻再生ステアリングを製作する上での色見本(サンプル)として使用している、当工房所有のステアリングです。

【S30フェアレディーZ 純正 海老茶タイプ】

「海老茶色タイプ」 当方が、40年余り前に新車で購入したS30Zの最終モデル(GS31)に装着されていたもので、購入後、二か月程度でレザー張りのダットサンコンペステアリング(当時の品名:スポーツコーナーステアリング)に換装し保管致しておりましたが、保存状態が良かった為、奇跡的に、現在でも新車当時の色艶を保っています。

【S30フェアレディーZ 純正 黄茶色タイプ】

「黄茶色タイプ」 令和元年に、ヤフオクで、デッドストック未使用品を、運よく落札し、サンプル用として所有している物です。

現存する当時もの純正ステアリングの多くは、「海老茶タイプ」です。
しかし、下写真のように、S30系、前期のフェアレディー240Z-Gの時代から、最終モデルのフェアレディーZまで、カタログては、黄茶色タイプが装着されています。
私自身、当時、S30系 最終モデルのフェアレディーZが納車された際、カタログと異なる海老茶色のステアリングが装着されていて驚いたのを覚えています。
これは、510ブルーバードやスカイラインも同様で、カタログでは、いずれも黄茶色タイプが装着されていますが、海老茶色タイプが、圧倒的に多く流通しています。

 


【海老茶タイプが圧倒的に多く流通している理由】
「黄茶色タイプ」は、明るい色調の為、カタログでは、大変見栄えがしますが、明るい色調がゆえに、下写真のように、木材の継ぎ目や、美しくない木目も目立ちやすく、クレームの原因になります。
ブランド品のステアリングとことなり、低コストに大量生産される純正ステアリングでは、木目の綺麗な素材の安定供給ができず、木材の継ぎ目や、美しくない木目を塗装技術でカバーできる、濃いい色合いの「海老茶タイプ」が圧倒的に多く量産されたものと思われます。


しかし、黄茶色タイプのステアリングは、滅多に出逢えない、大変貴重な幻のステアリングです。

当工房で、数多くの中古ステアリングの塗膜を剥ぎ取る中で、極まれに、下写真のように、木の継ぎ目も目立たない、大変綺麗な素材に出逢うことがあります。

当工房は、このような素材に出逢えた時だけ「黄茶色タイプ」の復刻再生ステアリングを製作致しております。
下写真は、【復刻再生・純正ステアリング №9】です。
製作時間も、海老茶タイプの二倍を要しますが、目の覚める美しさで、コックピットのムードが一変します。


510ブルーバード純正ステアリングの復刻再生は、ステンレススポークの美しさも要求されます。
美しいグリップに出逢えても、ステンレススポークに傷があるものは使えません。
本、作品は、ステンレススポークの状態も大変きれいで、大変希少な一品です。

最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。

宜しければ引き続き、「復刻再生とは」「510ブルーバード用はハコスカにもお勧め」のページをご覧ください。